おじぎするマレンゴ

教育についての雑記をほぼ週1ペースで書きます。気になっているテーマは「探究型の学習」「教師教育」

PBLとSDGs⑥発表その2

前回の「発表その1」の続きです。

 

(1)15時間目 発表その2

Iさんの全体プレゼン。この子は、うちのクラスで哲学対話をしたりスパイダー討論をしたりするときに、いつも一番張り切っていた子でした。

テーマは「みんなでみんなを考える」(身に付けたい力は、発信力)最初の企画案では、発展途上国の現状を母校である小学校に伝えにいく授業をするというプロジェクトでした。だけど、全然小学校に授業をしにいかないので、行かないのー?って聞いたら、

「ちょっと、とある理由でやめたんです。それも発表するので、楽しみにしていてください」とのことだったので、様子をみていました。

さて、発表当日の全体プレゼンは、いきなり黒板に「4x+x」と書き始め、チャイムがなる前から始まりました。

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「私は、小学校に授業をしにいくプロジェクトだけど、調べていくうちにやめました。この黒板に書いた問題、皆さんは答えられますか?多分一瞬で答えられると思います。それはみんなが数学の知識を知っているからです。」

「では、左上の4という数字と、右上の0という数字は何を意味しているか説明します。以前、私が皆さんに答えてもらった発展途上国の知識についてのアンケートです。左がこのクラスの全問正解者の数です。右上は2年生のあるクラスの全問正解者の数です。これっておかしくないですか?」

「あのアンケートは、私たちが住んでいるこの世界のことを聞いた問題でした。でも、ほとんどの人はそれを知らない。それっておかしなことではないですか?みんなは数学の問題は一瞬で答えられるのに。私たちが住んでいる世界なのに。私自身が、最初このアンケートの問題を自分で答えたときは、全問不正解でした。こんな私が、小学校に授業をしにいくなんかおこがましいと思って、授業をしにいくのをやめました。」

「知るってことは、そんなに簡単じゃないんだと、今回のプロジェクトで私は学びました。知るのはいっぱい調べたりしなきゃいけない。でも、私たちには考えることができます。それなら、いつでもできるんじゃないか。みんなと今日は一緒に考えたい」

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SDGsの目標を壁と捉えるんではなくて、一歩一歩階段を登っていくようにして超えていく壁と、考えたら私たちは、日々どんなことができるんだろう?」

「貧困って何だろう?貧困って、みんな簡単に言うけれど、貧困という言葉の本質も知らないのに、貧困をどうにかしなくちゃ、なんて私には語れない。」

 

こういう感じで、8分ほどのプレゼンが終わりました。彼女は、哲学対話での「本質観取」で、学んだことを社会科の授業のプレゼンでつかっていたようにみえました。

 

ブース発表。伝え方の練習が課題。すごくいい内容なのに、書いてあるメモをボソボソと発表しているだけで、内容が伝わらないのが多すぎる。ここは、何度も練習が必要なところ。例えば「今回の発表は紙芝居方式で」と、限定してやってみて、いろんな方法をチャレンジしてもらっていこう。

 

Mさん。バリ島にあるグリーンスクールを紹介していました。

imacocollabo.or.jp

彼女は、実際にダンボールでグリーンスクールの模型を作り、その仕組みをプレゼンしていました。

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作りながら、この学校の良さにも気づいたようで、この模型を動かしながらのプレゼンで、みているメンバーからは「おおおーーー!!!」と言う歓声が上がっていました。

 

次にYくん、なかなか無くならないクラスの残飯。世界の食料問題を調べていくうちに、それを何とかしたいと、クラスに協力をまずは求めていくこととから運動を開始。

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完食した日は記念にこうやって写真を撮って1週間分はたまったんだとか。

でも、「これ、オレらだけでやっても食料問題無くならないよなー。でも、このクラスを動かすだけで、こんなに大変だったから、世界を変えるのは、うーん・・・。」と困難さを感じてしまっていました。うんうん、こういうことを経験できたということも、きっと大切なこと。このあと、彼はどうなっていくか、楽しみだ。

 

Sくん。オンラインゲームが大好きな少年。ただ、いつもオンラインゲームで対戦する外国人が、アメリカ人やヨーロッパ人ばかりで、何で世界は広いのに、他の国の人は参戦しないんだろうと言う疑問から、プロジェクトを開始。そして、突き止めたことや解決策を、夜遅くまで作った動画にして、YoutubeにUPして持ってきました。

最初、僕は「そりゃ、先進国には金があるからでしょうよ!」っていう頭で発表をきいいていたんだけど、それだけではないということが分かって面白かったなぁ。分かったつもりになっていることって、意外と多いんだな。

Sくんは、「ゲームしたかったけど、ずっとこれ作ってましたー」と、今までにない熱中度を発揮していました。普段、自分が疑問に思うことを思いっきり調べて、それをとにかく伝えたいんだ!という気持ちがそこまで集中させたのかな。

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Tさん

吹奏楽部でクラリネットをずっと頑張ってきた子。「音楽で困っている人を救おう」(アイデアを出す力)というプロジェクトで、音楽の良さを活かしたまちづくりって、どんなことができるだろう?と、まちづくりについてずっと取り組んでいました。吹奏楽部では、東日本大震災へのボランティアにも携わっていたようなので、そのことも活かしながら、美術や社会や、理科や家庭科や、いろんな教科で学んだことを盛り込んだ

18ページの絵本を完成させました

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このページが一番の思いいれのあるページで、街の地図だそうだ。

 

こうした2日間の発表が終わった。

次回の投稿は、生徒の感想からのふりかえりを。

 

PBLとSDGs⑤発表その1

(1)14時間目 発表その1

① 授業者のふりかえり


私が学生時代にお世話になったフェアトレードの店長さんに電話で突撃インタビューしたMの発表を聞いた。1年生の時に私のクラスの生徒で、家庭訪問をしたときに、小学校時代からずっと書いてきた漫画を見せてくれたことがある。ダンスもしていたり、そういう表現力が豊かな生徒だけれども、普段の授業での発表とかはどちらかというと控えめだったので、今日の彼女の発表は、殻を破ってて面白かった。自作のフェアトレードを説明する絵本を読みながら、妖精さんが登場するところは、裏声という表現方法を使った。すごく緊張して、顔が真っ赤だった。今までしたことない取材をしたという経験や、すごくのめり込んで絵本を作っていて楽しそうだったからこそ、出てきた「裏声」だったんじゃないかな、って思った。

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そのあとは、Hの発表。ボードゲーム。ものすごい人だかりで、うまく発表が聞こえなかったけど、とにかく楽しんでた。準備のために朝の3時半まで取り組んでしまったそうだ。彼は2年生の時に、私のクラスの生徒で、オニミチやら、スコットランドヤードをずっとやっていた生徒。うちの学校はトランプ禁止なんだけれども、シャベリカでトランプしていて叱られ、抜け道として、トランプを自作した。さらに、色々なクラスメイトが登場するカードゲームを作り、休み時間がずっと楽しそうだった少年。遊び心満載なんだけど、決してふざけているわけではなく、ボードゲームの1マス1マスにきちんと、理科や社会の知識を彼なりに入れていて、教科横断ボードゲームだった。このクラスでは、これからあと卒業までに4回しかない昼休みに、このボードゲーム大会が開かれるらしい(笑)

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Yくん。いつも帰りの会の係委員会の連絡で、一発ギャグを言ってみんなを笑わせて下校というツワモノ。パワーポイントを使いながら、SDGsについて取り組んでいる芸能人を紹介するという発表だった。ふざけた感じの中にも、自分が取り組んでいるSDGsもさりげなく紹介したり、すごいテンポのいい発表だった。1学期に実施していた平和プロジェクトでは彼はミニ映画を撮影して、その主演をしていた。ほとんど教室にいなくて、昇降口とかピロティーで、「アクション!」とか言いながら、動画を撮っていて、気づいたら大作ができていた。

Pくん。ひたすらにゲームを作り、それを大画面に映しながら、ただそれをクリアするという発表。Youtubeで流れているようなゲームの実況中継みたいな。ただ、今の子供たちは、そういう実況中継を見慣れているから、すごく集中してみていた。ところどころ、食料問題と絡めて、「ここの道は通れないようで、実は通れる。可能性を信じよう」みたいなことをボソボソ言う。そこポイントだろー!もっと大きな声で言おうぜ!って思うんだけど、聞こえない。

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それでも、このクラス子達は、彼がボソボソいう子だってわかっているから集中して聞いていて、「おー!すげえ。なるほどなぁ」って声も出ていた。


M の全体プレゼン。出だしが、「ある団体に質問に答えてもらいたくて、メールを送ったんですけど、返ったこなかったので、発表内容を変更しました。私の仮説の話をします」という、みんなも「え?」となった展開。ただ、総合の時間でもLGBTの探究をして、トータルで3ヶ月ほど調べていたから、彼女なりに伝えたいことがたくさんあったんだと思う。彼女にこの中学校3年間で一番学んだことってなんだった?って聞いたら、「人間関係。いろんな人がいるということ」だった。だから、いろんな人がいていいんだ、ということを考えていくうちに、差別されているLGBTのことが気になったんだと思う。

自分の仮説をマッピングで表現してのスピーチだった。

彼女の発表の様子を職員室で紹介したら、みんな驚愕の表情だったし、発表を聞きに来てくれた先生たちも感動していた。それほどまで、彼女の成長は、この3ヶ月はすごかった。これは、定期テストではわからないな。

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Kのフェアトレード取材報告。
いつもボソボソ喋るのに、ものすごくあつい語りで唾を飛ばしていた。
パワーポイントにも初挑戦。ひたすら喋った後、他の人の発表を聞かないで、ベンチで、疲れ果ててぼーっとして座っていた。やりきったー!!という充実感が感じられた。この後、彼はどんなチャレンジをする高校生になっていくのかな?

 

ザーッと書いてみて、
想像以上に、学びに没頭している子が多かったなぁとも思う反面、もっとこうすればよかったー!!ということも、ものすごく多い。

 


参観者から、のちのふり帰りの会で指摘されたように、単なる調べ学習になってしまった子がいた。探究の持久力のようなものがついていないのかな、と思いながらも、よーく考えてみると、その子は、ひたすらに困っていたように思う。
ずっとフリーハグの動画をみて、「先生!私、これを渋谷でやるプロジェクトにする!これで、日中関係をよくするんだ!」といい、他の生徒にやめとけ、危険だよ!と止められて困ってた。
学校のPCは、知りたいことがブロックされて見つからない。と言って困ってた。
何がやりたいかわからなくなった、と言って困ってた。
僕も、どうやって手助けをしたらいいか、この学校の環境でできることを色々考えてみようと思ったんだけど、困った。彼女のやりたいことが、うまくできる環境になっていないことを、申し訳なくも感じた。


子どもたちが、探究できる環境、ってどういう環境だろう?
プレイワークの研修でも同じような問いが、僕の中には出てきた。


いつでも、探究のための道具が使えるようにしておくことは必要そうだ。この「道具」の中には、パソコン環境やスキルなども入る気がする。あとは、子どもの創造性をくすぐるような材料とか、廃材とか。

 

そしていつでも、探究のための道具を選べるようにしておくことも大切だろう。

「選べる」ためには、その道具を選択肢として使えるぐらいのスキルの練習だって、ある程度必要だ。探究のスキルを使えている子、まだまだ練習の必要な子。そりゃ、差はあるけど、今回、十分な練習時間をとったかどうかも怪しい?

そして、そもそも探究のスキルってなんだ?ということも、モヤモヤしている。

 

次が最後の発表になる。 

PBLとSDGs④発表のやり方とフィードフォワード

 

(1)12時間目 発表のやり方決め

①授業の流れ

 ・ミニレッスン「発表のやり方決め」

 ・探究のつづき(まとめ作業、発表練習など)

 

②授業者のふりかえり

学年末テスト返しと採点ミスチェックを10分で終えた。その後、「発表のやり方」についての希望を聞くことにした。全体で発表するのもいいんだけど、小人数のグループで発表するのもすてきれないなぁと思っていた。少人数で、自分の聞きたい質問をたっぷり聞けたり、おしゃべりができたりする時間も魅力的だろうなぁ。

そして、ここまでこの単元では様々なことを生徒に選択してもらったから、その哲学を貫こうということで、2つのやり方のどちらで発表をするか、選んでもらうことにした。


・全体で発表したい人
・ブースで発表したい人


それぞれの発表方法でのメリットやデメリットになりそうなことを話した。

全体で発表したい人は、全体で発表して良い。そういう緊張するようなことを中学校生活最後にチャレンジしたい、自分の大発見を是非ともみんなに知ってもらって、全員からフィードバックが欲しい。そういう子どもの気持ちをくみたかったからということもある。

ブースで発表するのは、自分の聞きたい発表を自由に聞けるようにしたかったからということもある。あとは、こじんまりと発表をすることで、いろいろ気軽に質問できそうだから。そして、ブースの発表を聞かないという選択肢もあることにした。自分の発表前の練習をしたり、最後の調べ物をしたりしてもOKということにする。

 

「発表時間は15分かなー」って最初に授業があったクラスで言ったら「長い!10分がいいです!」という意見多数で、10分に。さらに、全体発表をしたいという人が多いクラスもあり、本来発表日じゃない日にも早めに発表することを求めてきたので、その意見を採用した。「こんな風に発表の流れにしたんだけどどう思う?」と投げかけたら、あーだこーだ言ってくれる。自分たちでいろいろ変えることの楽しさをしっている。そのことが、本当に嬉しく思った。

 

そして、授業後に、発表順などをまとめたプリントを完成して翌日に配布した。

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生徒の名前、プロジェクト名プラス、彼らが一番身に付けたいと考えている力を載せた。そのことを知っていれば、聞いている生徒たちが、効果的なフィードバックができるかもしれない?と考えたからだ。以前の、ブログの記事にも書いたけれども、彼らが書いた身に付けたい力の裏には、一人一人の人生が表れているということを大切にしたい。

 

(2)13時間目 フィードフォワードシート作り

①授業の流れ

・ミニレッスン「フィードフォワード用紙」

・探究のつづき(まとめ作業、発表練習など)

②授業者のふりかえり

フィードバックフォワード用紙を作成して配布した。

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一人一人が何をフィードフォワードしてほしいかを「身に付けたい力」などを参考に2項目書いてもらい、それを回収した。あと、もう一項目は自由欄。それを発表当日の必要枚数分だけ、それを印刷して配布するというアイデアだった。全体発表の生徒の用紙は、最低限でもクラスの人数分は必要で、ブースで発表する生徒は、15枚ずつ印刷した。このように発表者が何について特にフィードフォワードしてもらいたいのか?を事前に聴衆が分かっていたら、より生徒たちにとって、とても学びに繋がっていく評価になるのかもしれない。実際、この評価を受け止めて、どのように考えたかは、最後のふりかえりに書いてもらおう。

(フィードバックと同じような意味でフィードフォワードは使っているんだけれども、出来るだけ、相手が失敗したことや、うまくいかなかったことも、次こうやってみようよ!もっとここ、こうしたらいいんじゃない?って言えるといいよね、という意味を込めている。)

 

(3)14時間目 発表準備最終日

①授業者のふりかえり

家で風呂に入っているときに、発表にいれて欲しいことを思いついた。「探究の物語(ストーリー)」を、いれてもらうことにした。

自分がこのプロジェクトをやっていくなかで

「どんなことが嬉しかったのか」「辛かったのか」「ワクワクしたのか」

そういう個人が持っているエピソードも話してもらいたい、ということを伝えた。私はは子どもが探究した知識にワクワクするのではなく、その探究した道筋に、何があって、どういうふうに感情が動いたのかを一番知りたい。一人ひとりが、どんな物語(エピソード)を、つくりながら、ここまで来たのか、を知りたい。

それを知ることで、きっと、子どもの過ごしてきた時間の豊かさを知り、またこういうプロジェクト型の学習をするときの私の原動力になると思う。それに何より生徒たちにとっても、プロジェクトを通しての心の動きや経験などのエピソードをお互いに語り合うことで、このあとの生き方に繋がっていく何かを学べるような気がするんだよな。

 

私はあまり得意ではないんだけれども、なるべく授業のことを子どものエピソードで語れるようにしたい、と思っている。同じように、子どもも自分の学びを自分のエピソードで語れるということが大事な気がする。もし、子どもたちが大人になって、人を教えるようになった時、もしかしたら、この時のエピソードを覚えていてくれたら楽しいことが起こりそうな予感もする。

先駆けて、全体発表をした人が二人いた。

Yは、緊張しがちだけど、あえて全体発表をして苦手だったスピーチを、こうやって全体の場でできるようになったというエピソードを話してくれた。

Tは、総合の時間にやったディズニーについて掘り下げて、もっと深くディズニーについて語っていた。

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遊びとスパイダー討論

 過去に何回かスパイダー討論をやっていて、今年のクラスでは4回目スパイダー。

horsefield98.hatenablog.com

 今回は、こんな感じでやってみました。

 

最後の道徳:スパイダー討論 

前の日のジャーナルで、「スパイダー討論で話し合いたいテーマは?」というお題を出して、それを全て黒板に書き出しておいた。それを、みながら朝の会で、
A 学校は必要か 

B クラスのラストは何をしたらいい解散か 

C 鶏と卵どちらが先か
という3つのテーマに決めて、自分が話したいテーマのグループに行ってもらった。
Cだけ人数が多すぎたので、2グループに分ける。
A・・・今までの討論でよく喋るメンバーが集まった。
B・・・お祭り系(?)女子が中心で集まった
C・・・おふざけ系(?)男子が中心で集まった。

同質性が高いメンバーだと、「うんうん、その通りだよねー」という相手を承認するだけのコミュニケーションが以前まで多く、そこまで議論が深まらなかったので、そういうグループにはならないようにバラバラにしようとも考えたんだけれども、今回はあえて、同質性が高いグループで組んだあとに、
「批判的思考」を大切にしよう、ということを話して始めた。
(批判するということではなく、本当にそうだろうか?ということを聞いてみよう、というようなミニレッスン)


この「批判的思考」を、PBLの授業にも生かしたいという目的があったので、やってみた。

 

いつもは観察者を2人おくけど、みんな話したがっていて、観察者がいない。
なので、スパイダーの記録をとるために、それぞれのグループで一人話しながら記録をとってもらう人をお願いした。(これはのちに失敗だと思った)スパイダーの図を書いている人が、グループの中にいることで、その図をチラチラみながら、図の書き方についてのいちゃもんをいう男子。「俺は、べつに人の意見を遮ってねえよー」みたいな。ただ、一方でこれはいいかも!?と思ったのは、書かれている図をチラチラみながら、誰に話をふろうか考えている人もいる。図をみなくてもできるようになるのが、理想だけど、練習段階ではこういうこともあり。ただ、生徒の振り返りには、当たり前だけど、「記録しながらだと、会話に参加しにくい」ということ・・・。そりゃそうだな・・・・。

 

個人的に一番面白かったのは、男子ばかり集まっている「鶏と卵」

 

鶏と卵チームでは、空想遊びのようなものを10分くらいしていた。

「最初は、ワニだったんだよ。」

「え?ワニ?」

「うん、ワニが逆立ちしたり、ひっくり返って卵を産むんだ」

「その卵から産まれたのが、ニワという生き物」

「えーー???笑 それはどうやってニワトリになるの??」

「たぶん、庭で1羽産まれたんだと思う。それが2羽目が産まれた時に、突然変異が起こったんだよ。」

「そっか!だから、最初はイチワトリ、って名前だったんだよ。」

「次に産まれたのが、ニワトリってことか!(笑)」

「でもさ、3羽産まれたら、サンワトリにはならないの?」

「うーん、よくわからないねえ、ハハハハハ!」

「お前も、逆立ちして子ども産んでみたら?」

「いや、男だから産めねえし!」

 

中三男子。ここまでで、10分経過。スパイダー討論の時間設定を25分にしたので、約半分近くの時間が過ぎてしまったことになる。でも、私は明らかにふざけている様子の彼らには注意はしませんでした。なんだか、すっごく楽しそうにニコニコしていて、普段爆笑しない生徒まで爆笑していて、そういう時間を過ごさせてあげるのも、まぁいいかなぁと思っていたから。

そして、散々遊んだ後に、鶏と卵についてしっかり話そうと、この男子の中の誰かが言い始めて、そこからスッと話し合いに戻ったのです。

 

このおしゃべりで遊ぶ時間で子供達は何をしていたのだろう?

こういう遊ぶ時間って、他の授業でもよく見かける。この遊びの時間を通して、脳のウォーミングアップのようなことをしているんだろうか?

この遊びのような時間を「関係ないことを喋るな!!」と禁止してしまったら、おそらくそのあとの話し合いが進んでいかないかもしれない。だから、本当に本当に叱らなくてよかったなぁと思う。まぁ、全く叱ろうという気持ちにはならないくらい、子供達の笑顔がよかったんだよなぁ。

 

遊びの力については、こんな本を最近読んでいる。

プレイワーク―子どもの遊びに関わる大人の自己評価

プレイワーク―子どもの遊びに関わる大人の自己評価

 

この本のp.69 以降に遊びについての様々な言葉や定義が書かれていて、その記述の中に、子どもたちがやっていたことの意味が書かれているように思った。

例えば、こんな記述があります

気持ちの表現指標

遊びの場では、子どもが次のような気持ちを表現できるようにすることが必要です。

幸福感 喜びや満足を表現すること

独立心 権威や支配に寄りかからない気持ちを表現すること

自信 自己肯定感を表現すること

利他的 人や物事に対する固い信頼感を表現すること

バランス 心身の安定を表現すること

行動的・没頭 エネルギーにあふれ、自由に動き回り、または深く没頭すること

安心感 恥ずかしさやぎこちなさ、束縛、堅苦しさから解放された気持ちを表現すること

 男子たちは、遊びながら、「行動的・没頭」「安心感」というような気持ちを感じていたのではないだろうか。そして、そのような気持ちを十分に感じて、心があったまって、ウォーミングアップが完了したような感じになって、鶏と卵について考えるようになったのだと思う。

その後の、スパイダーはこんな感じだった。

 

「何かしらの原因があって突然変異したんだと思うんだ。だから、鶏が先。」

「もしかしたら、本当にワニだったかもしれないよね。何かの地球の環境の変化があって、突然変異したのかもなぁ」

「どんな環境の変化だったんだろうねえ」

 

子どもが、じっくりと遊ぶための時間を確保するということは、間違いなく学習にも繋がるということを実感。そして、私の中にはいろんな問いが出てきた。

・最近いろんなところでよく言われるように、遊ぶこととと学ぶことに違いってないのか?

・遊ぶことと学ぶことを、分けているのは大人の都合か?

・子どもは、遊びと学びをいつから分けてしまうのか?そもそも分けているのだろうか?

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この写真は、昨日うちの娘(3さい)が公園で拾ってきた小さな種やBB弾をノートにはっているものです。これは、遊びでしょうか?学びでしょうか?そもそも、そういう分け方に意味はないのかもしれません。

PBLとSDGs③自己評価と取材の意味

 

(1)10時間目 自己評価

①授業の流れ

<ミニレッスン1>プロジェクトルーブリック(身に付けたい力)の配布

このPBLを通して、どのような資質・能力を身に付けていってもらいたいかを表にまとめて渡した。これを作る際には、学習指導要領や学校教育目標、仲間がすでに作成していたルーブリック、日本PBL研究所の資料から作成した。ただ、作成したとは言っても、全然納得いく出来ではなかったので、未完成のものを生徒に配布して、「自分にとって身に付けたい力が載っていなかったら、それを付け足してね〜。あとで回収するよー」といって、それを参考にルーブリックの更新をした。

 

すでに作成した企画書に「9、身に付けたい力」というものを書く欄があり、最初からここに書けるようにルーブリックを準備をしておけばよかったのだけれども、途中からでも遅くはない。すでに企画書に書いてあることも参考にしながら、身に付けたい力を最低1つ、最高3つ選んでもらった。


<ミニレッスン2>成長のあしあと

これも日本PBL研究所の資料を参考に作成。

自分の身に付けたい力は何か?今の自分の現状は?どうなったら、レベル1の目標をクリア?レベル2は?レベル3は?と、その身に付けたい力を、どう達成していくかの計画を考えてもらった。

 

そのあと中間発表
1人4分発表3人班
発表内容→プロジェクトテーマ、わかったこと3つ、いま困っていて相談したいこと
質疑応答、それに対して、ふせんでフィードバック1分

 

②授業者のふりかえり

私一人でカンファランスするには限界があるので、自己評価を繰り返しやることで、自己主導の力をつけていきたいと考え、勉強会仲間からいただいた資料や、日本PBL研究所の資料から、プロジェクトルーブリックを作った。

ルーブリックと成長のあしあとを回収して、生徒がどういうとろに○をつけているのか、とういう追加項目があるのかをみながら、ルーブリックの追加修正をした

子どもたちは、よっぽどいろんなことを考えていてびっくり!!!
しかも、ちゃんと自分の苦手なことを分かっていて、それを伸ばしたいと考えている。

例えば、「資料を読んで考える力」を、身に付けたいと書いている子がいた。その子は、成長のあしあとの「今の自分の現状」のところにこういう記述をしていた。 

いまのじぶんは、ただ資料を見ているだけで、それについて考えることができない。

あぁ、そこを悩んでいたのか、とショックを受けた。いつも授業中ぼーっとしてるなぁと思っていたのに、そんな願いがあったとは!!それにもっと早く気がつくことができれば、どう資料を読み取るかというスキルの練習をもっと授業中でできたはず

自己評価の項目をじぶんで考えさせることで、その子の成長したい!という思いが見える。そして、「今の自分の現状」を考えてもらうことで、自分自身のことをどうメタに見ているかも読みとれるかもしれない。

このプロジェクトは、いままでやってこなかったことにチャレンジしてるぶん、もっとできたなぁって悔しい思いや申し訳ない思いが結構ある。この思いは、必ず次につなげる。

 

(2)11時間目 中間発表

バレンタインデーということで、授業のはじめにフェアトレードチョコを配布して、とりあえず食べてリラックスしておしゃべりしてからのスタート。

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Mが、連休中に、僕が昔お世話になったフェアトレードショップの経営者と結局、直接電話して取材したらしい。たくさんの取材メモがあって、それをどう絵本にしていくかということで、楽しそうにやっている。Tが送った青年海外協力隊に参加したことのある中学校の先生へのFAXも、きちんと返信があった。とても丁寧に書かれていた返信に、本人とっても嬉しそう。

 

あとは、なんといっても、K 。連休中に吉祥寺に行って、フェアトレードショップの店長さんに取材に行き、マフラーと手袋などのフェアトレード商品を購入してきたらしく、熱心にプレゼンをしていた。「今週、入試を控えているから、こんなことしている場合じゃないとは分かっているんですけど、行きたくていってしまいました〜笑」と、自慢げにプレゼンをしている彼は誇らしそう。彼は、昼食を一人で食べてきたそうで、保護者は一人で取材に行ったことも、びっくりし、一人で外食することができたことにもびっくりしたそうだ。Kにとっては、すごいチャレンジングなことで、この挑戦と小さな成功が、きっとこれからの人生に向けて大きな意味になるんだと思う。

 

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私が社会科の教師として、フェアトレードの専門家を教室に呼んできて話をしてもらうことはやろうと思えばすぐできる。多様な大人に出会えるという意味では価値のある実践になる。では、なぜそれをやらなかったのか?それは、それだとどうしても、子どもたちにとっては、受け身の学びになるから。もしかしたら、生徒が取材に行った先の人よりも、もっと専門的な話をしてくれる人はいるかもしれない。それでも、私は、「子どもが自分で探してきた人に取材をした」という経験の価値にはかえられないのではないかな、と思う。

 

他クラスのMは、食品の廃棄物についての探究をしていて、片っ端からコンビニやスーパーのお客様問い合わせセンターに連絡をとっている。それぞれの廃棄物の量を足して、平均を出してみたいらしい。
ところが、あるコンビニA(一応、ふせておきますね)からは廃棄物の量とその対策が送られてきたのに、違うコンビニBからは、量についてのデーターは送られて来ず、対策ばかりが書かれていたそうだ。

この結果をみて、どんなことを思ったの?ってKに聞いたら、
「Aのコンビニの方は、きちんと自分たちの数字を公開しているから、そっちの方が信頼できます。」ということを言っていた。むむむ、すごくこれも面白いなぁ。

 


どうやって、生徒同士の相互評価による学びの促進をしていけばいいか、が今の私の課題。

 

PBLとSDGs②放任には、なっていないの?

 


(1)6時間目 企画書づくり4コマ目(面談ラスト)

①本時の流れ

あと数人残っている生徒の面談をする。

 

②授業者のふりかえり

5組のKさんの探究課題について、いろいろ話をした。
彼女のプロジェクトテーマは、「経済学から効果的な勉強方法の要素を考えられるか」ということ。Kは、勉強以外にもやりたいことがたくさんあって、好奇心旺盛な学級委員。ただ、勉強をしっかりやっていないと、親にすごく叱られるということで、親に叱られないように、どうやって効率よく効果的に勉強をするかが最近の悩み。

前回の条例づくりプロジェクトでは、「どのように仕事を休める環境を作るか?」ということをテーマに取り組んでいたでの、その対となるような、「どのように仕事をするか?」ということをテーマにしてみたいと面談では言っていた。

そこで彼女が、取り上げたのは、「経済学」だった。
この視点は思いつかないなぁ。
どうして、経済学なの?って聞いたら、
「社会の授業で、資本主義というものが、効率などを大切にしていると教わった。そこで、資本主義の経済学を勉強すれば、自分の勉強方法に活かせる要素や方法を見いだせるのではないかな、と思って」ということだった。そして、今日は、池上彰森永卓郎の本を図書室で読んで、ノートにまとめていた。
もしかしたら、「経営学」っていうのも、そういうことを考えるヒントになるかもよー、と伝えた。

のちに、彼女には、こんな本と動画をアドバイス

 

 

眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話

眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話

 

www2.nhk.or.jp

 

(2)7時間目 どんどんプロジェクト進める1コマ目(情報収集)

①授業の流れ 情報収集をしている生徒を見るためひたすらウロウロ

②授業者のふりかえり

5組 Hさんの探究の進み具合が面白い。

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この子は、哲学的なことを考えるのが大好き。前回の条例作りの時にはLGBTに関連して、「平等とは?」ということを考えていた。今回は、「なぜ評価があるのか?」「頭が良いということは、色々な判断基準があるのに、なぜ学校は上下をつけようとするのか?」など。その前の平和プロジェクトでは、「平和とは?」ということをテーマに、美術的な作品を作っていた。

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ただ、私が思うのは本人が得意としているやりたいことだけではなく、他の分野のプロジェクトをやることにも意味があるかなぁ。どの分野も満遍なく。それが子どもたちの様々な資質・能力を伸ばすことに繋がる。子どもたちがそんなにやりたいことではないかもだけど、うっかりやってみたら面白かった!っていう経験は大事なんだと思うんだけど、そこのところの考えは、まだまだ煮詰まっていない。

これは、今後の課題だ。

Yも面白い。
この子は自分のクラスの残飯が多すぎることで、
「毎日クラスの残飯を0にして、その写真を撮影して、カレンダーにして、給食センターに送りたい」と言っていた。ただ、技術の授業で、「牛や豚の肉を食べることは、環境破壊に繋がる」ということを学んだらしく。
「給食で、牛肉や豚肉を残してしまったら、給食は余ることになるし、作ってくれた人たちに悪いし、困ったなぁ。矛盾するなぁ」と頭を抱えていた。どういう結論を出したんだろう?

 

教室(2階)、図書室(3階)、PC室(1階)に別れて、それぞれ好きな所に言って学んでいる。だから、誰が何をやっているのか、毎回はわからない。
1時間に8人くらいと話せればいいかなぁと。研究ノートのようなものを書いている人もいるし、書いていない人もいる。
ちょっと不安を感じつつ。
なぜ、不安か?
子どもに任せるということで、放任になっていないか?
そこを問われた時に、「放任にはなっていない!」と自信を持って言えない気もする。

 

3)8時間目どんどんプロジェクト進める2コマ目(情報収集)

①授業の流れ ミニレッスン→ウロウロの続き

<ミニレッスン>プロジェクトノートの導入
・「メモ(参考文献やURLを含む)」、「新しい疑問や問い」「次やること」
という項目をA4一枚に書いた紙を全員に配布した。

・どういう進捗状況かということを知りたいというものありつつ、子供達自身が、自分の調べたことや疑問を記録していってほしい。
・頭の中にでてきて思いつきたことは、すぐに忘れてしまうから、それを記録してほしい。

・記録すると、記録しておいてよかったなぁ、メモしておいてよかったなぁ、と思うことがある。ということをしっかり練習してほしいので、始めた。
・提出は求めない。(毎日120人見るのは、大変)

・子どもたちに聞いたら、自分のノートをなどにすでにメモしているから、この紙を使わない人3分の1くらいいた。だいたい使用している人は、クラスの3分の1くらいかな。残りの3分の1は??

 

②授業者のふりかえり


子どもたちのプロジェクトノートに書いてあることを見ながら、何人くらい見て回れるか、チャレンジ。自分の記録としては、スマホの写真と、ほぼ日手帳(カズン)へのメモのみ。 以下に、手帳にメモしたことを文字に書き起こしてみる。
・MとT・・・ほとんど学校に来なかったりする二人。まずは、興味を喚起しようと、Mに興味のあるメイクの話から探究のテーマを考えさせる。勢いよくPC室にいったけれども、「どうやって調べたらいいか、わかんない」と、ちょっと元気なく帰ってきた。次は、タブレットの使い方や調べ方のレクチャーか。
・H・・・人生ゲームの紙幣を作っている。いつの間にかPC技術を身につけていた。

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・S・・・体に身につけて発電する充電器を調べて、その構造を理科の勉強と繋げていた
・T・・・青年海外協力隊の経験がある他校の先生にFAXを送って連絡を取ろうとしている。

この時間に、じっくり見れたのは4人だった。

 

次の時間

先日 お会いした台所研究科の方の話とスーダンの話を10分ほど紹介、その後各自の活動(食糧問題について扱うプロジェクトの生徒がいたので、そのためのミニレッスン)


K ・・・今週末の3連休で、吉祥寺のフェアトレード店に取材に行くことを決めて、ひたすらに質問することを考えていた。
M ・・・アムネスティー・インターナショナルに送るメールを執筆。ワードを初めて使うようだ。
C ・・・ずっとインフルエンザで休んでいたために、企画書ミーティング。畑作りをしてみたいとのこと。どこまでできるか

じっくり見れたのは、3人だった。

どこかで、中間発表会を設定しよう。
そうしないと、なんだかゆるゆるーな空気のまま、なんとなく終わる生徒がいそう。

 

③ふりかえりのふりかえり

私の中での、「じっくり」とはどういうことか?

それは、いま何やっているのかや、プロジェクトをすすめるにあたって、困っていることを聞いて、その困っていることを解決するためには、どうしたらいいんだろうね?と考えてもらったり、一緒に考えたり、そういうことができたら「じっくり」

ただ、生徒によって必要とする手助けは違うのだから、生徒によって一人一人に意味のある「じっくり」って違うのだと思う。ある生徒にとっては、たくさん話しかけてもらいたいかもしれないし、また生徒にとっては、話しかけてもらいたくないって場合もある。

子どもとの個別の相談のタイミングや方法は、その子に合わせたものを考えていこう。でも、それでは時間的な限界があるので、子どもを自立した学習者にするために、子ども達がじぶんでじぶんの学びをコントロールできるルーブリックのような何かが必要かなぁ。

(4)9時間目どんどんプロジェクト進める3コマ目(情報収集)

①授業の流れ ミニレッスン→ひらすらウロウロ

<ミニレッスンの内容>クリアファイル、スケジュールの確認、提出方法

 

②授業者のふりかえり

今日は変えたことは3つある。
1つ目、全員にクリアファイルを一枚渡したこと
子ども達にすでに社会科ファイルということで、黄色いプラスチック製のファイルを1年生の時に配っているので、そこに「プロジェクトノート」のプリントやPBL企画書を挟んで置いてねー!といったものの、いまいち活用してくれない。これは、1年の頃から色々なプリントが保存されているから携帯性にかけるのも一つかな、と思い、クリアファイルを希望する人〜って聞いたら、みんな手を挙げたので、それを配布することにした。このクリアファイルだと、図書室にいくときも、PC室にいくときも、子どもたちは、ファイルを持って移動する。しかも透明だから、PBL企画書も見やすいし、子供達も次に何をやるのか見やすいのかもしれない。私も、うろうろ歩いているときに、さっと手にとって、彼らが何をやっているのか、見やすい。

 

2つ目、今後のスケジュールを提示して、「中間発表」「本発表」の日程を知らせた。
ひとまずの締め切りを設けて取り組んだ方が、人は一所懸命取り組むはず。
中間発表は、グループで一人2〜3分の発表をして、メンバーから付箋でフィードバック。本発表は一週間ほど期間をとって、好きな時に好きなスタイルで発表するようにした。必ずしも全員発表できないかもしれない。別に、これで探究が終わるわけではない。中学校終わった後も、取り組んでくれたらいいなぁ。

 

3つ目、最後の提出物
一人ひとりに渡したクリアファイルの中身を見てもらいながら、今度作成するルーブリックを使ってポートフォリオ評価をしていくことにする。先生が評価をするのではなく、自分自身で自分を評価し、この後も、学び続ける人になってもらいたいから。

今日面白かったエピソードは、6組のM。(1年の時は担任だった)
フェアトレードについて調べたいということで、僕が大学院時代にお世話になったフェアトレードの専門家を紹介してほしいということで、Facebookを通じて、連絡を久しぶりにとったら、快くマナミと連絡を取り合って、色々なインタビューに答えてくれることになった。熊本まで飛行機で飛んで、フィールドワークした日々を思い出した。

lovelandkuma.wixsite.com


僕がお世話になったのは12年も前なのに、いまだに覚えていてくださって、中3の生徒にも快く対応してくださることに、本当にありがたいなぁと思って、暖かい気持ちになりました。どんな取材をして来るのか、楽しみだ!

 

この連休中に、

「子どもの学びをどうカンファランスしていくか?」という問いを持って、仲間達と色々学んでいたら、日本PBL研究所が出している冊子に行き当たった。

(現在注文中)

pbl-japan.com

仲間が持っていた冊子をパラパラみていたら、

「子どもが自分の学びを自分でコントロールするためのリスト」を作っていく必要がやはりあるなあと感じた。とりあえず、連休明けにはこれを作って子どもに提示するところから始める。もちろん、リスト?ルーブリック?は、子どもたちのアイデアや考える余地があるようにする。

 

 

 

 

PBLとSDGs①企画書についての実践と学び

 (0)はじめに

3学期の1月末から2月末の最後の授業まで、PBL(プロジェクト・ベース・ラーニング)で、中学校3年生の社会科の授業を実践中です。

今までにも、いくつかプロジェクト型の授業をしてみたものの、生徒たちがどっぷりと学びに浸っているかと問われると、そうではない生徒が多かったというのが反省です。

そこで、まずは生徒たちの「問い」から始まる探究を丁寧に考えていこうと思い、手に取ったのは、上杉賢士・市川洋子(2005)『プロジェクト・ベース学習で育つ子どもたちー日米18人の学びの履歴』 でした。

プロジェクト・ベース学習で育つ子どもたち―日米18人の学びの履歴

プロジェクト・ベース学習で育つ子どもたち―日米18人の学びの履歴

 

 この書籍の、p.90-91にPBLを始めるための企画書が掲載されているので、そこを参考にしながら、私が教えているクラスで5時間ほどかけて、企画書を書いたり、面談をしたりしながら、考えたこと、気づいたことをまとめていきたいと思います。

 

(1)1時間目 私が中学校の3年間で学んだこと 1コマ目マッピング

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自分が今まで学んできたことから、どうやって持続可能な社会を作っていこうか?というような全体の単元の流れ。ただ、「君たちがこの3年間で学んだことって何だろう?」って質問しても、生徒たちの頭は「???」になることは間違い無いので、1時間使って、それをひたすらに書き出す時間を取りました。

①本時のながれ

・10分個人でマッピング

・10分グループ(2〜3人)もしくは一人を選んでもいいで話しながらマッピング

・5分個人でマッピング

・クラスの端から順に、他の人とかぶらないように、この3年間で自分が特に学んだなぁ、って思うことを言ってもらって、がそれを私が黒板にまとめていく。

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②授業者のふりかえり

それぞれのクラスの黒板を見返すと、なんだか、各教科で学んだことって、少ないなー、って思って切なかったけど、これが現状なんだろうな。圧倒的に、部活動や友人関係から学んだことが多い。でも、部活動や友人関係から学んだことも、SDGsと繋げて、面白い探究テーマも生まれそうで、次回が楽しみ!!

 

(2)2時間目 私が中学校の3年間で学んだこと 2コマ目プロジェクトテーマ考案

①本時の流れ

・みんなで作った黒板の写真を配布(PCで白黒反転させれば見やすい!)
・自分が学んだことを書いたマップも机の上に出す
・2つを見ながら特に自分が学んだこと、興味のあることに印をつける。
・それを使ってどう社会をよくしていくか、という話をする。
SDGsの本を配布して、SDGsTV動画を1つみることで、すでに自分たちは社会と繋がっているよね、ということを思ってもらう。

sdgs.tv

・企画書を配布して、こういうのを次から書くよ、という説明をする。

②授業者のふりかえり

●1時間目4組
「どのようなことを達成したらゴールか?」ということで、途方もないゴールを設定した人もいた。「1ケ月で、できるゴールだよー」って言った方がよかったね。

●2時間目5組
流れを変えてみた。
自分の学んだこと(興味のあること)×SDGsの17つのゴールのうち1つ、を考えてみよう!にした。というのも、どうにもテーマで唸っている子が1時間目に多かったから。このやり方は、いいものが出てきた。
KPOP×平和、中日ドラゴンズ・野球部×陸の豊かさなど。
中日ドラゴンズの選手が、どのようなボランティア活動をしているかを調べて、球団に問い合わせをして、中日としてのSDGsに対する取り組みをまとめ、課題などを明らかにしていきたい」って言っているのは面白かったなあ。とても、私じゃ思いつかないテーマで、ワクワクした。

●3時間目6組
「1ヶ月のゴール」の決め方で、困っている様子。
また、教科の枠を超えることにも困っている様子。
困っているというか、すごく考えの広がりが狭いということ。

アウトプットのやり方が、「紙でまとめる」ことに偏っている。
一度、どのようなアウトプットがあるか、ということも考える時間があってもいいかもしれない。教科の枠についても、社会科的な観点以外が出にくい。

「先生、僕睡眠について興味があるし、この3年間大切だなぁって思っているんですけど、これどSDGsって繋がらないし、社会っぽくないですよねー」って相談しにきた生徒がいた。

「睡眠×健康、でいいんじゃない?世界の睡眠の状況とか、寝方とか寝具とか調べても面白いかもねー。あとは、うつ伏せ、横向き、仰向け、どの寝方が一番体にいいのか、とか自分の体で試してみるような保健の授業みたいなプロジェクトも面白いかも!」

「え!そんなのでいいんですか?それなら、すごく面白いですねー。ちょっと考えてみます」

中学校3年間まで来ると、考えは凝り固まっているんだけど、ちょっと突っついたら、すぐに柔らかくなる脳みそを持っているなー、って思う。
自分のやりたいことをやりたいだけやるという学びを、ずっとやって行ったら、どうなるんだろう?マインドセット、って大事。いやー、久しぶりにワクワクする時間だった。

 

③ふりかえりのふりかえり

途方も無いゴールでもOK。生徒たちは、「砂漠を森にする」というようなゴールを企画書に書いてきたけれども、最初からそこを私は、「もう少し小さくしたら?」って言ってしまった。その言葉から生徒には、どんな影響を与えてしまったんだろう?「あなたは中学生だから小さな問題しかできないんだよ」っていうメッセージを伝えてしまっているかもしれない。マインドセットが大事と言いながら、凝り固まったマインドセットを、生徒に伝えてしまっていたので、失敗したなぁ。そこに達成するために、どのように1ヶ月近づいていくかということを考えることも探究だよなぁって思う。子どもだって、「これから自分が取り組む1ヶ月のプロジェクトは、大きなゴールを達成するための1歩なんだ!」って思った方が、モチベーションが上がると思う。子どもの主体性を引き出したいのに、逆のことをしてしまったなぁ。次の授業で修正をしていこう。

 

 

(3)3時間目 企画書づくり1コマ目 アウトプットミニレッスン

①本時の流れ

アウトプット(成果物)について、どういうことをしたらいいかわからないということが、うちのクラス(4組)のジャーナルに書いてあったので、急遽、アウトプットについてのミニレッスンを行うことにした。

 

<ミニレッスンの内容>
・黒板にマッピング形式で、みんなが発言したアウトプットのやり方をがまとめていく形式
・途中で2〜3分の近所との相談タイムを入れて10分程度

・黒板の右端には、「出口チケット」という付箋を貼った。授業の終わりに質問や相談などがあって、直接聞きにいくタイミングを失ってしまったりした人用に、付箋に書いて相談できるもの。(結局、使いにくそうなので、各班のテーブルに配布することになった)

・また、友人から共有していただいた成果物の動画や、小学校6年生の女の子が書いた絵本も共有した。

【脱線】坪田愛華さんの『地球の秘密」、正直、小学生が作成したもののレベルとは思えない。彼女の両親が編集した『愛華、光の中へ』を読んだ。この本は、彼女の生涯の学びのポートフォリオのようになっていて、たくさん文章を書いたり、たくさん本を読んだり、たくさん個人探究をしてきた足跡が残っていた。こういう学びに浸ったという経験があるから、こんなに素敵な絵本ができたんだなあ。)

地球の秘密―SECRET OF THE EARTH

地球の秘密―SECRET OF THE EARTH

 
愛華、光の中へ。―「地球の秘密」を描いた12歳の少女

愛華、光の中へ。―「地球の秘密」を描いた12歳の少女

 

 

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②授業者のふりかえり

●3時間目 5組
いわゆる一斉授業の座席形式のまま、ミニレッスンをしたがいまいちアイデアが出ない。完全に空間の設定をミスした。アウトプットに興味がある人は、黒板をみているし、そうでない人は、どんどん企画書を書き進めている。それでOKということにしたんだけれども、なんとかアイデアを集中して考えようという空気にはならなかった。

●4時間目 6組
まず、アイランド式に教室の座席をして、アウトプットに困っている人だけで、集まってもらった。12人。ゲーム大好き少年Hが、「なんだ、青空教室みたいだ!」と嬉しそう。他のみんなも黒板の前に集まると、なんだか嬉しそう。みんなで一緒に考えようという形になっているから、自然とアイデアが出そうな雰囲気。
身体性による学びのスイッチ、というのは、やはりある。(こういう言葉でいいかどうかは?)

このときのミニレッスンは、
前のクラスでやったものに追加して、
・今までみんながやってきたアウトプットはどんなものがあったー?から発散。
・こういうのに縛られなくて、もっと自由にやっていいよー。先生は、これで成績つけないからねー。6組は、非常に勉強ができるクラスで、学校の型から抜けにくそうな人が多いので、そういう話を追加してみた。

早速少年Hは「人生ゲーム!」「SDGsボードゲーム!」と言って、場を和ませ、
そこから、みんなの意見がどんどん出てきた。

「その目標は壮大過ぎない?」と昨日言った生徒たちは、ゴールを小さくすることはしなかった。ブレない。
自分たちのやりたいことって、ほんとに色々あるんだなー。
こんなに子供達は自分たちのやりたいことを話している時は楽しそうなんだなぁ。
入試の勉強ばかりやりたい子達かな、って思ったけど、
そうでもないようで、みていてこっちもワクワクしてきた。

 

(4)4時間目 企画書づくり2コマ目 面談

①本時の流れ

企画書作成している生徒たちの相談に乗る

②授業者のふりかえり
企画書の中の「実在の人物」の欄を記入するところで、かなり困っている人が多い。今回のプロジェクトの情報源として、必ず実在の人物を入れることを条件とした。
個人的には、少しチャレンジをしてほしいという気持ちがあるので、できれば身近な家族や友人を、「実在の人物」として欲しくはない。このプロジェクトを通じて、社会と繋がっていく力も、少しでも身に着けるというチャレンジをしてほしい。

ただ、身近な家族や友人でも、いいなぁと思うようなテーマもある。
例えば、日頃から気をつけている節約術、など。

悩むなぁ。

ただ、この「実在の人物」という項目が、なぜあるのか、ということをちゃんと話せばよかったかな、と今思えばある。上記のような思いでこの項目を書いているんだということを、子供達に思いを伝えるか、伝えないかで大きく変わってきたのかなぁって思う。そこは、今から話しても遅くないかな。

1時間で10人くらいの企画書を面談。
みんなのやりたいことを聞いている時間が、ものすごく楽しい。
企画書を書き終わった人から、PC室や図書室に自由に行って調べている。

ある生徒が、出口チケットを書いてきた。

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こういう、生徒のやりたいが、動いているのは嬉しい。
今まで、授業に全くやる気のなかった生徒が、動画作成をしたいということで、ものすごく生き生きしている。いい感じだ。

 

③ふりかえりのふりかえり

身近な人を選ぶ→楽をしようとしていると感じる→違う選択をさせて、チャレンジをさせようとする。

こんな思考になっている自分がいる。決して、生徒は楽をしたくて身近な人を選んでいるわけではないのに、そう思い込んでしまっていました。自由に自分がやりたいことができるのが、今回のPBLなのに、そこを知らず知らずのうちの制限してしまっていたなぁ。いかんなぁ。たぶん、そう考えてしまうのは、僕が「真正の学び」とは、社会につながることだ、という考え方にこだわってるから。そこを、どう柔軟にいけるかなぁ。身近な人も「社会」か。大切なのは、自分で必要な人に繋がることを選択するという経験かな。この部分は、次の授業でもう一度しっかり話しておこう。それに、家族だって友人だって、身近な人も社会の一員。身近な人の新たな一面を見ることができる可能性もあるよ。

そして、「真正の学び」とは何だろう?という問いにきちんと自分なりの考えを、持てていない・・・。「真正の学び」って何だろうか・・・。

 

(5)5時間目 企画書づくり3コマ目 面談続き

①本時の流れ

黒板に面談したい人は、名前を書いていく。そして、自分の順番がきたら呼ばれる。

面談は1人つき4分くらい。1時間に12人くらいできる感じ。

②授業者のふりかえり

まだ企画書のチェックを受けていない人は各クラスに15人程度。
だいたい一人に3〜4分の面談をしているけれども、なかなかの疲労感だった。
今日は3時間連続で合計40人近くと話していたら、クタクタになった。
企画書OKの人たちは、PC室や図書室で、調査の開始。

今日一番面白かったのは、4時間目の T 。母親の実家が福島県にあり、震災の被害を受けたということ。そして、実家の近くには海があり、おばあちゃんが漁業をしていたということ。震災でのマスコミの報道は、原発のことばかりで、漁業関係者がどのような苦労をして、今、どのように復興してきているのか、全然報道しないんだ、ということが不満のようだった。

「それは、マスコミに対する怒りということ?」と、聞いたら、
「いや、そういうことではなくて、ただ僕の祖母やその仲間が、どういうことに苦労していて、今、どういうことを頑張っているのかということをただ知ってもらいたいんです」ということだった。

彼は、他の社会科のプロジェクトの時は、「別にやりたいことないっす」ということを言っていて、ぼーっとしていることが多かった。今回は、全然目の色が違う。

企画書の「周りや社会に与える影響」という項目を考えるところが、本当に肝だと思う。
whyを考えるということ。なんのために、その学習をするのか、ということをじっくり考えている。
Tの今回の企画書からは「why」を強く感じた。
「自分の親戚の現状をみんなに知ってもらいたいから、このプロジェクトをする。そのために、電話でインタビューをする」と言っていた。

今まで、自立学習シートで、学びのコントローラーを子どもに渡せば、自分で学んでいくと思っていたけれども、僕なりの言い方をしたら、そのコントローラーには電池が入っていなかったのかもしれない。
why、なんのため、という目的は、学ぶための電池、エネルギーになる

そして、Tには、Tの生きてきた人生があって、彼の生きてきた人生からしか、出てこないプロジェクトだった。生徒たちとの企画書面接を通して、感じるのは、一人一人の企画に向き合っているという感覚よりも、一人一人の人生に向き合っているという感覚(もちろん、そういう時ばかりではないけれども)

教師として、「そんな探究があるんだなー!面白いなー!」っていう知的好奇心も、面談からくすぐられるとともに、「この子には、こんな思いや人生があったんだなぁ」って、知らないことばかりが出てきて、もっと一人一人の子を授業で見ていけばよかったなぁ、という後悔の念もある

中学校3年の最後の単元で、こういう取り組みができるきっかけをいただけたことは、本当にありがたいなぁ。

 

③ふりかえりのふりかえり

ここまで5時間。探究のスタートのためにこれだけ時間をかけたのは、はじめてだった。3年間一緒に過ごしてきた学年の子達だからこそ、学校内外での、それぞれの学校内外でのいろんな悩みや成長にも少しばかりは関わってきた。それでも、彼らが生きてきた文脈は知らないことばかりだったなぁ。その文脈を知っていれば、もっと彼らが持っている探究のタネを育てることもできたなぁって思った。