おじぎするマレンゴ

教育についての雑記をほぼ週1ペースで書きます。気になっているテーマは「探究型の学習」「教師教育」

PBLとSDGs⑦生徒の感想

中学校3年間の最後の授業は、プロジェクトのふりかえりを1時間使って、じっくり書いてもらう時間にしました。書いてもらった項目は、以下の6つ。今まで作成したメモや成果物、仲間からのフィードフォワードを見ながら、学んだことや見つめる。そうすることで、中学校を卒業した後にも学び続けるための何かを掴んで欲しいなぁという思いで項目を考えました。まぁ、⑥は、ただの自己満足ですけどね。

 

①プロジェクトを通してどんな力がついたと思いますか?ルーブリックを見ながら振り返ってみよう。 

②自分が身につける必要がある力は何だろうか?ルーブリックを見ながら振り返ってみよう。

③みんなが書いてくれた、フィードフォワードからの発見は何ですか。

④みんなの発表からの発見は何ですか。

⑤このプロジェクトを終えて、みんなに一番共有したいことや気持ちは何でしょうか?

⑥先生へのメッセージをどうぞ!

 

何点か子どもたちのふりかえりながら、今後のプロジェクト学習をどう考えていけばいいか、考えたことをただただ書いていきたいと思います。

プロジェクトにあたって、社会や理科、数学などたくさんの知識を使った。学校で学んだことは必ずどこかで活かせる時がくる?

このふりかえりを書いた生徒は、以前、「学校で勉強する意味がわからない」言っていた生徒でした。自分が気になったことは、勝手にどんどん探究していくのが得意な子で、学校で習っているような内容は、ほとんどがすでに自分で学習済み。とりあえず、大人しく授業だけは聞いておくかー、みたいなスタイルで授業を受けていた印象があります。そんな生徒が、社会科のプロジェクトで、この現実の問題をどう解決したらいいんだろう?と、紙にたくさん書いては消し書いては消し、いろんな人と相談しながら、考えていました。この生徒は、プログラミングが得意な子であり、数学の難問を作って自分で解いてみたり、考えるのが好き。今回のプロジェクトでは、知識をフル動員している感じが、すごく楽しそうだった。答えがそう簡単に出ないものを考える楽しさをプロジェクトを通じて、感じることができたのかなぁ。

達成感。こういう自由なプロジェクトって簡単そうだけど、難しいよね。やった人にしか分からない。プロジェクトには、たくさんの時間が必要。しかし、その時間の中でやるのがプロジェクト 

私のクラスで、合唱というプロジェクトも引っ張ってきたリーダーの感想です。リーダーなんて、やったことなかったんだけど、この生徒はそのプロジェクトでも、すごく悩み成長してくれた。「こんなに合唱祭実行委員って大変だったんですね。やったことのある人しかわからないですよ」と言っていたのを思い出した。ここでの学びも繋がっているように思えた。

社会の授業を通して、考えさせられることがすごくたくさんありました。自分が将来こんなことをしたい!という夢も社会の授業からもらいました。自分が思っていたよりも世界って難しいんだなと痛感しました。

この生徒は、前回の記事の4x+xのプレゼンをした生徒のふりかえりの一部。単なる正解を教わる授業ではなく、正解がないことが世の中にはたくさんあるということを知ったようです。自分には、まだまだ知らないことだらけなんだ、ということをプロジェクトに突きつけられ、その難しさに諦めてしまうのではなく、難しいからこそ、面白いんだ、っていう意識へと、この生徒の考え方は進化していきました。

先生の、他の人とは少し違った考え方やものの見方にはとてもしげきを受けました。 授業もプロジェクトや自分の考えをまとめたり、他人に言ったりすることがたくさんあって楽しかったです。

この生徒とは、日々の時事問題で、すごく議論をした。授業時間も、休み時間も。その時間は私にとってもすごく面白くて、刺激的だった。特に意識していた訳ではないんだけれども、私が面白がれば、面白がるほど、この生徒も面白がって、考え方や見方をアップデートして、議論をふっかけてきた。面白がるという教師の考え方は、かなり生徒に影響するんだなぁ。

差別や偏見は人、一人一人の気持ちでなくなっていくかもしれないということ。世界の問題は知られていなことだらけだからもっとみんな知ってもらえる機会が必要でそれが何か解決に繋がるかもしれないこと。国問題などは政治的なことではなく人の気持ちで良くなっていく、変化していくということ 

 自分でいろんな教科書を引っ張り出してきて、韓国や朝鮮についての気になったことを発見して、楽しくなっちゃって年表を作り始めて、また何か発見して楽しくなっちゃっての繰り返し。そして、自分が楽しくなっちゃったことを相手に伝えることができたという満足感を味わっていたな。

社会の暗記だけではなく、卒業してからの大切なこともプロジェクトなどを通してたくさん学ぶことができました。発表の仕方は全然違くても、それぞれの思っていることがちゃんと理解できるということや、興味のあることが人の役にたつということです。

前回の記事で音楽の絵本を作った子。自分が楽しいと思うことを、人に共有することの楽しさをすごく実感していたようです。自分の楽しいという気持ちを聞いてもらうことの嬉しさ。人の話を聴くことの楽しさ。いろんな人がいるということの楽しさも感じていました。

知るって楽しい

シンプルにこんな意見も。

こういう振り返りを読んでいると、プロジェクト型の学習では、本当にたくさんの感情が生徒たちの中で発信されたり、共有されたなあと思っています。以前の記事で、プロジェクト型の学習は、その生徒一人一人の人生が見えてくる楽しさがある、というようなことを書いたのだけれども、もう少し細かく見ると、生徒が持っている感情を知る機会が多かったことが、発見だった

 

今、ちょうどじっくり読んでいる本がある。

NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版

NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版

 

 この本の中にも、「感情」ということが、とてもキーワードになっている。

さらに、『学習する学校』を書いたピーター・センゲも最近は「感情」などの人の内面についてのプロジェクトをどんどん進めているということを聞いた。(このあたりのことは、また別の記事で、考えたことについてはまとめていきたい。)

「Introduction to Compassionate Systems Framework in Schools」という催しが直近では、2019年6月24日から26日までMITで行われるようで、そういう世界の教育の動きも気になる。(リンクは下から)

www.solonline.org

社会は暗記の教科と呼ばれていますが、僕たちは先生のおかげで、これkらの人生に欠かせない力を身につけることができました。この経験を、形は違えど、必ず将来に活かしていきたいと思います。相手に考えを伝える時、自分も一緒に聞いている。 

 「相手に考えるを伝える時、自分も一緒に聞いている」深いなぁ。こんな言葉を中学生が言えるって、すごくびっくりした。プロジェクトを通して、自分の内面をみる機会が、この生徒には多かったのだろうか? 振り返りを単に書いてもらう時間だけでなく、一人一人面談をしていくという時間も確保するべきだった。

 

もちろん、ネガティブなふりかえりもある。

入試前にプロジェクトをするのが辛い。大変すぎるということだけを書いてきた生徒もいる。その気持ちもわかる。大変だったけれども、得たものが多かった。そういうことをもっと実感できるようなプロジェクト学習を探究していきたい。

 

いろんな可能性と課題が見つかった1月から2月末までの社会科の授業もこれで、おしまい。